PDCAを回しているけれどもなかなか現状が改善されていかない。現場で起こり得る問題ですが、こういった場合は仮説の精度の低さとPDCAを回すスピードの遅さが原因であることが多いです。
成長している会社は常に改善をしていきますし、それをスピード感を持って進めています。
今回はPDCAサイクルのキモになる精度の高い仮説を立てる重要性とスピード感の大切さについてです。
PDCAとは
PDCAはPlan(仮説)、Do(実行)、Check(検証)、Action(改善)の4つのステップからなるフレームワークで、第二次世界大戦の後に提唱された歴史の深いモデルです。
PDCAのそれぞれのステップは次のようになります。
Plan(仮説)
このステップでは、最終的にどこに到達したいかのゴールと実行計画を立てます。
定めるゴールとして、「いつか遠くのゴールに到達しよう」といった曖昧なものではなく、「3年後に〇〇まで到達する」というように明確にすることが大事。あいまいな計画だとあいまいな結果が導かれます。
ゴールが決まると現在地とのギャップ(課題)が見えてきます。
それに対して解決案を考えて、アクションに分解して、それをさらに分解してタスク化していきます。
Do(実行)
Plan(仮説)のステップで立てた計画を実行していくステップです。
次のステップのCheckで検証できるように、実行した結果を必ず数字として記録しておきましょう。
Check(検証)
P(仮説)で立てた計画はあくまで仮説。Pのステップの時点での「いまある情報の中で考えられる最適解」としての仮説なので、実行した結果が最適解であったのかの検証を行うステップです。
D(実行)のステップを回しているとそれっぽく動いているのでゴールに近づいている感がありますが、D(実行)に満足せずに、こまめにCheck(検証)を行いましょう。
Check(検証)を行わないとD(実行)の無駄打ちの回数が増えます。
Action(改善)
Check(検証)のステップを踏まえて改善するステップです。
重要なのは仮説(P)の精度
PDCAを高速回転させることで、スピード感を持ってビジネスを加速させることができます。
ただ、PDCAを回しても人によって成果が出る人と出ない人がいます。
これってどうしてだと思いますか?
大きな理由の一つは仮説の精度が上げられます。
いかに精度高く仮説を設定することができるか。
モノゴトには原因と結果の因果関係があります。
何かをインプットした場合、何かしらの法則性が働いて、結果がアウトプットされる。
完全な予測は難しいですが、法則性を読み解いて、できる限り誤差を小さくするように予測して仮説をたてていきます。
この仮説の精度をどれだけ高められるかで得られる大きさが変わります。精度高く考え抜かれた仮説に基づいて実行した結果は、それについて検証することができます。
精度の高い仮説の結果
仮説
(input)○ + △ + □ → (output)● + ▲ + ■
結果
(input)○ + △ + □ → (output)● + ★ + ■
検証
outputの●と■は仮説通りだが、▲になるはずの部分が★だった。
※この場合、ピンポイントで▲と★の差について検証をかけられます。
逆に、当てずっぽうの直感に頼った精度の低い仮説で実行した結果は、仮説と結果との差が明確にならず検証することが困難になります。
仮説
(input)○ → (output)●
結果
(input)○ → (output)★
検証
想定した結果にならなかった。。。
※この場合、前のパターンより仮説の精度が低いので検証の精度も低くなります。
検証の精度が低いと原因と結果の因果関係がつかみづらくなります。そのため、経験を別のケースに転用しづらくなってしまいます。
仕事ができる人は、1つの事象からより多くのことを学び取って別のプロジェクトなどでもその経験を活かす印象があります。
PDCAを何度も高速回転させる
精度高く仮説を設定するために、確信が持てるまでとことん考え抜く、そこがPDCAで結果を出す人と出さない人との分かれ目です。
精度の高い仮説は具体的な行動(input)を伴った現時点で予測されるベストの結論(output)となります。
人によって解釈が分かれるような実行計画だと、具体性が乏しいです。
そして、実行して得られる結果は仮説と多かれ少なかれ食い違いが発生します。
そこに検証・改善を加えるのがPDCAサイクルであり、一回で終わらせるのではなく何度も回転させることが大切です。
ときどきPDCAサイクルを回していると時間がかかってしまう。「PDCAは概念が古い」といった意見を聞きます。
PDCAは本当に今では使えない考え方になってしまったのでしょうか?
私はそうは思いません。
仮説の精度の高さに加えてPDCAサイクルのもう1つの大切なポイントは高速で回すことです。
スピード!!スピード!!スピード!!スピードが未来を決めるのだ
引用:成功のコンセプト
楽天の社長の三木谷さんの言葉です。楽天は他社が1年かかることを1ヶ月でやり遂げるスピードを大事にしている会社。
楽天が数ある企業の中でも飛び抜けて急成長できた理由のうちの1つでしょう。
三木谷さんの著書は学びの宝庫です。
» 【書評】「成功のコンセプト」はビジネスマンのバイブルだった
» 【書評】「成功の法則92ヶ条」は具体的なビジネス指南書だった
状況はどんどん変わっていきます。
PDCAサイクルをのんびり回していると仮説を立てたときと状況がどんどん変わっていきます。
以前に比べてビジネスのスピードが速くなっているのは確か。
PDCAの概念が古いのではなく、スピード感をもってPDCAを回すことが今では重要です。
まとめ
今回は精度の高い仮説を立てることの重要性についてでした。
PDCAは概念的には理解できても、実際に実行したときに思ったほど効果が出なくてPDCAサイクルが形骸化してしまうことがあります。
しかし、それはPDCAの概念に誤りがあるのではなく、多くの場合、仮説の精度が低いことが原因に挙げられます。
学校の試験ではないので、世の中には正解というものはありません。
だからこそ、仮説を立てて検証していく。
PDCAのこのプロセスは仕事における謎解きみたいなものなので、このプロセス自体を楽しめるようになれたらいいですね。