長所を伸ばしてさらに輝かせるのか、もしくは短所を引き上げて一定レベルまで持っていくのか。
諸外国に比べて、日本人の場合は短所を引き上げて全方位的に弱点をなくすようにする傾向があります。
どっちが正解というものでもないですが、今回は長所を伸ばすことのメリットについて有名人を例にあげながら深掘りします。
どうして日本人は短所を引き上げようとするのか?
恥の文化
海外の人は割とゴーイングマイウェイ。人がどう思おうが自分のスタイルを貫く人が多い気がします。
例えば、街を歩いているとき。アメリカなどの海外だと、すれ違う人の服装のテイストや髪型も割とバラバラです。他民族国家ということもあると思いますが、基本的には自分のポリシーがあって、それに従って生きている印象です。
日本だと、服装にしても髪型にしても海外に比べて割と似ている傾向がありますよね。日本は単一民族なのである程度似るにしても、ほぼ同じようなテイストにおさまります。
これは何でかと言うと、日本人には「恥の文化」というものがあるから。世間体や外聞といった他人の視線を気にします。
日本は国土が狭い島国なので、昔からできる限りトラブルを起こさないようにしてきました。京都に都が千年ほどありましたが、あんな狭いエリアでトラブルが起きるとご近所付き合いもしずくなりますし。だからこそ、他人の目を気にしてできるだけ問題が起こらないようにします。
メディアの謝罪会見で「この度は世間をお騒がせしまして大変申し訳ありません」といった謝罪を目にしますが、恥の文化が理由だと考えられます。起きた問題そのものよりも、まずは社会の目に配慮して社会を騒がせたことについて謝罪します。
とは言え、恥の文化は悪いわけではなく、「人に迷惑をかけない」ように配慮するなど、日本人特有の心配りができるメリットも。
人の目を気にする
人の目を気にする傾向性が日本人にはあります。
足並みをそろえようとするので、人と違うと恥ずかしいと感じます。
そのため、服装が人と違うと恥ずかしいので、ファッション雑誌を読んでトレンドに乗ろうとします。
人よりも劣っている点があると恥ずかしいので、短所を人並みまで引き上げようとしたり隠そうとしたりします。
減点主義
また、最近は少し風潮が変わってきましたが、日本人は減点主義なので、ファインプレーをするよりも失敗しないことを良しとします。
少しの失敗で大きく減点されるから、小さな失敗でも避けたほうが良い。できるだけ失敗しないように失敗しないように。つまり、「失敗しない行動」が大切になる。
アメリカでも失敗すれば減点されますが、大成功したときの得点が大きいので挽回しやすいです。
そのため、アメリカだと大きな成功を目指してがんばるし、日本だとミスをしないでそこそこの成功を目指すといった傾向がでます。
大きな欠点をなくし、平均を上げようとする流れですね。
長所が輝けば短所は味わいになる
本人からすると短所はないほうがいいと思いがちですが、短所は場合によっては「味わい」になります。
例えば、ミスター・プロ野球こと長嶋茂雄さん。
現役の頃の長嶋さんはというと、
- 新人王
- MVP5回
- 首位打者6回(セ・リーグ記録)
- 本塁打王2回
- 打点王5回
- ベストナイン17回(入団から引退まで全シーズン受賞)
- ゴールデングラブ賞2回
- 日本シリーズMVP4回(史上最多)
- オールスター通算打率.313(150打席以上で歴代1位)
- 史上唯一、公式戦・オールスター・日本シリーズの全てで通算打率3割以上を記録
引用:野球の記録がここにある
さすがミスター!選手として輝かしい経歴です。
監督としても2期15年という長期で活躍されましたが、もう一つ長嶋さんで印象的なのは、その言動。
会話のいたるところに英単語が入り、話は飛ぶしズレるし。数多くの名言と迷言を残しています。
けれども、長嶋さんの言動はミスターだから許されている部分があります。普通の一般の人が長嶋さんのようだとちょっと厳しいですよね。
長所として「野球での天才的な活躍」を挙げるとするならば、短所としては「脈絡のない不思議な言動」となります。
ここで注目して欲しいのは、なぜここまで長嶋さんが愛されているか。
もちろん野球人としての長嶋さんも愛されていますが、その一方で、短所と思われる「おかしな言動」があるから一層愛されています。
短所しかない状態だと話にならないですが、長所が輝けば輝くほど短所と思われていたことは「味わい」になります。
長嶋さんからあの言動がなくなると、寂しく感じるのではないでしょうか。
短所は無理に消すよりも長所を伸ばす
自分の方向性を定めるにあたって、長所を伸ばすのか短所を引き上げるのか。
これには正解はなくて、その人それぞれのケースがあるのでどちらが良いかということではないですが、無理に短所を消す必要はないのではないかと思います。
それよりも、自分が他人よりも秀でているもの、自分が得意で楽しいと感じることをまずは伸ばしにかかることのほうが、頭角を現す上で大事なのではないでしょうか。
引退間際の人で人格が磨かれている人は別として、世の中の現役バリバリで活躍している人ってアンバランスな人が多いですよね(笑)
下のグラフで言うと、左側はオールマイティーにこなすので組織にいるとマネージメントしやすいですが、悪く言えば替えがきく存在。
右側は欠点はあるけれども適所に配置することさえできれば突破力があって替えのきかない存在。
人生で決まっているのは生まれてから死ぬということ。限られた時間をどこに振り分けるのかによってどういった人材になっていくかが決まります。
まとめ
今回は、「長所が輝いている人にとって短所は味わい」について深掘りしました。
1つの方向から見ると短所は足を引っ張る存在ですが、別の方面から見ると短所は味わいになります。
礼儀礼節といった人としてのマナーについては当然身につけるべきですが、能力的に劣っているものについては無理に平均点を取りにいかなくても長所を輝かせる方向に努力することも1つです。
他人からの目も大事ですが、度が過ぎるとワクワクするようなチャレンジができなくなってしまうもの。
短所ばかりを気にしてしまって長所が出せなくなっている人の参考になれば嬉しいです。
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