「日本一アウトプットをしている精神科医」である著者の樺沢紫苑さん。
「メルマガ、毎日発行13年」
「Facebook、毎日更新8年」
「YouTube、毎日更新5年」
「毎日3時間以上の執筆11年」
「年2~3冊の出版、10年連続」
「新作セミナー、毎月2回以上9年連続」
アウトプットの量が膨大ですよね。
モノゴトをより深く理解するために必要なのがアウトプット。教科書で習ってわかったつもりでも、実際に問題を問いてみるとちゃんと理解できていなかったことに気づいたことがあると思います。
しっかりと理解を深めるためにはインプットとセットで行ったほうがいいのがアウトプットです。
私はというとインプット量は多いと思うのですが、それに比べてアウトプットの量が少ないという実感があります。
本を読んでも、そこから何を学んだかが曖昧であったり内容を忘れてしまっていて、せっかく時間をかけて本を読んでも「読んだ」という自己満足しか残っていない印象がありました。
もっと効率よく生活の中でアウトプットを増やして、インプットした情報を血肉化するためのエッセンスは何かないだろうか。
もっと頭の中のアイデアを伝わるように伝えたいと思ってますが、そのエッセンスがないだろうか。
そういった気持から本書を手に取りました。
どんな本
本書は5章立てで、「アウトプットとは?」といった定義・基本法則・メリットといったものから具体的なハウツーまで紹介されています。
目次
- 第1章 アウトプットの基本法則
- 第2章 科学に裏付けられた、伝わる話し方 【話す】
- 第3章 能力を最大限に引き出す書き方 【書く】
- 第4章 圧倒的に結果を出す人の行動力 【行動】
- 第5章 アウトプット力を高める7つのトレーニング法
アウトプットに関して網羅的に書かれている本です。
じっくり読み進めるのもいいかと思いますが、特に自分にとってネックになっている内容を目次から逆引き的に読むと使えるアイデアを手に入れやすいかと思います。
読んでみて特に印象的だったのは次の3つです。
1. 意味記憶からエピソード記憶に変換
「意味記憶」は覚えづらく忘れやすい、「エピソード記憶」は覚えやすく忘れにくいという特徴があります。
「意味記憶」というのは、英単語「apple=りんご」の組み合わせのように、関連性の薄い組み合わせのこと。いわゆる「暗記」です。
「エピソード記憶」というのは、過去にあった出来事や体験、つまり物語、ストーリーとしての記憶のこと。
断片化された知識は覚えづらいですが、過去の出来事やストーリーは覚えているもの。
「エピソード記憶」は記憶に残りやすいといった特徴をどのように使うかというと、「自分の言葉で誰かに説明する」。
説明することで断片化された知識がストーリーになるため、記憶に残りやすくなります。
説明することはアウトプットのトレーニングとして最適です。
2. 褒める&叱るはフィードバック
「褒める」や「叱る」という行為も立派なアウトプットであり、フィードバック。
部下が何か行動を起こして、その結果がよかったのか悪かったのかは経験不足だと判断できません。
そこで、「褒める」や「叱る」というアクションをとることで、部下は「適切」であったのか「不適切」であったのかを判断できます。
行動→褒める→この方法でよかったのか!次も頑張る!→気付き→【自己成長】
行動→何もしない→まぁ、このままでいいか…→【成長なし】
褒める
特に忙しいときは「叱る」ことはあっても「褒める」ことをすっ飛ばしていることが多かったです。
けれども、相手の承認欲求を満たすという意識が弱かったという気づき。
「褒められた」行動は心理的に強化されて繰り返し行う動機になるので、「褒める」べきは「強化すべき行動」です。
私が指示出ししないと動かないことも、きっとこういった「褒める」という行為が弱かったため、自発的な行動が喚起されなかったのではと思います。
叱る
「叱られることは、自分の成長において必要だと思いますか」の質問に対して、87.7%の新入社員が必要と答えたそうです。
自己成長のために叱られたいと新入社員は思っているんですね。
けれども叱るときにはコツがあって、それは「For You」の視点。相手のために「叱る」のか、自分の感情で「怒る」のか。
「叱る」ときも「修正してほしい具体的な行動を指摘する」ことが重要。
同じ過ちを繰り返さないように「気付き」と「対策」が得られて、初めてフィードバックがうまくいったと考えられます。
相手のために叱っているつもりが、ついつい感情で怒ってしまうことがあります。怒っても感情的に反発されるだけなので、「怒る」ことでは何も生産されません。
上司から部下へは父親的な愛情を、部下から上司へは尊敬を。日頃からの信頼関係の構築が大事。
相手に求めるよりも、まずは何より尊敬されるような自分である努力が大切と思いました。
3. 価値>価格
クライアントの心理は「価値のあるもの」を買いたい、「価値のないもの」は買いたくない。すごくシンプルです。
だからこそ、「売り込む」のではなく「価値を伝える」ことが大事。言い換えると、「ベネフィット(利益)」を伝えることが大事。
ついつい、商品の特性などを伝えてしまいがちですが、クライアントにとってどんなベネフィットがあるかを伝えましょう。
「物を売る」のではなく「価値を伝える」。これができれば勝手に売れていきます。
そして、ビジネスをしている人なら誰もが知りたい「物が売れる公式」というものがあります。
それは、「価値>価格」。期待している価値よりも価格が安ければ売れます。
この公式を成立するために多くの場合は価格を下げようとしますが、これをすると無限に続く価格競争に巻き込まれてしまいます。
そうならないために、価値を上げること、ベネフィットをクライアントに十分に伝えることで公式が成立するようになります。
まとめ
アウトプットについて網羅的に書かれています。内容が充実している分、全部を一度に取り入れようとするとパンクしてしまうので、自分の課題となっている項目をその都度取り入れていったほうが結果として取り入れやすい印象です。
体系的にまとまっているので、全体理解という意味でも役に立つのではないでしょうか。
以上、書評でしたっ