マニュアルは便利なので、実際にいろんな仕事の現場で使わています。
マニュアルの一番の意味は、経験がない人だったとしても短期間で一定のレベルまで引き上げることです。
「従業員全員の平均点をある程度まで効率的に上げる」ためにマニュアルがあるわけですね。
ただしマニュアルに頼りすぎてしまうと、「お役所仕事」と批判されるような柔軟性のない仕事になってしまいますし、仕事自体もつまらなくなってしまいます。
この記事は、仕事をマニュアル化する意味とその弊害を、仕事を楽しむコツと合わせて解説します。
目次
マニュアル化する意味は?
色んな現場にマニュアルがあるように、当然ですがマニュアル化することには大きな意味とメリットがあります。
マニュアルは「従業員全員の平均点をある程度まで効率的に上げる」ためのエッセンス。
例えばマクドナルドの新人アルバイトが短期間で現場で活躍できるようになるのは、優れたトレーニングマニュアルがあるからです。
ここではマニュアル化する具体的なメリットについて書きます。
メリット1.サービス品質の底上げ
新人は最初は何をしていいのかよくわかっていません。
マニュアルがないと人それぞれ違った動き方をしてしまいます。新人が接客するにしても、それぞれ生まれ育った環境や経験が違うので接客品質も人それぞれ。高い人もいれば低い人もいてバラツキが出るんですね。
マニュアルを使うことでサービスの質を揃えて、一定以上のレベルにまで底上げすることができるようになります。
メリット2.教える側の負担を軽減と質の担保
教える側の負担も減らすことができます。
マンツーマンで全てを教えるとなると結構大変です。一人ぐらいなら丁寧に教えることができても、100人となったらお手上げですよね。教育にはコストがかかるわけです。
また、新人が新人に教えることはできないですし、経験者も教えるのに上手下手があります。当然ですが、教える側のスキルや経験によって教えられるレベルにも差が出てしまいます。
マニュアル化することで教える側の負担を減らし、教育の質も担保することができるようになります。
メリット3.業務全体の俯瞰的な理解
マニュアルは業務全体を見える化させることができます。
それぞれが経験的に行っていた業務の流れをマニュアルとして文章に起こすことで、マニュアル作成者も閲覧者も、業務を俯瞰的に理解できるようになります。
時には自分のことを業務の歯車のように感じてしまうことがあるかもしれませんが、マニュアルがあるおかげで業務全体の中で自分がどの部分を担っているのかを理解して仕事に取り組むことができます。
メリット4.知識や経験の蓄積
組織に知識や経験を蓄えることができるのもマニュアル化のメリットです。
業務担当者が転職してしまうと、その業務の知識経験がゴッソリなくなってしまうことになりまうので組織としては大損失。
けれどもマニュアル化しておくことで組織に知識や経験を残すことができます。
また、何か問題が発生したときも緊急対応マニュアルがあれば、習熟度が低かったとしても、いざというときに最悪の事態を回避する行動を取ることができます。
マニュアルの弊害は思考停止に陥りやすいこと
いろんな現場に取り入れられているマニュアル。当然大きな意味があるわけですがデメリットもあります。
マニュアルの一番の弊害は思考停止になる可能性があることです。
マニュアルを作った人は「どうして」その作業をするかを把握しています。けれども、マニュアルに従う人が「どうして」を把握できていないとズレたことをやってしまいます。
例えば、「お酒は20歳以上にしか販売してはいけません。販売するときは年齢確認するように!」といったマニュアルがあったとしても、それを守って50歳のお客さんに成人確認をすると「アホかっ」っていう話ですよね。
これは極端な例ですが、「どうして」の視点がないと普段の仕事でも案外似たようなことをやってしまっています。
特に、慣れで仕事をしている場合はよくあることです。以前は工程の中で必要だったけれども、よくよく考えてみると今は必要ないものがマニュアルの中に残っていることがあります。
ポイント
マニュアルは便利ですが、「どうして」の視点が抜けてしまうと本質を見誤ってしまって、無駄な作業をしたり顧客満足度を下げてしまいます。
日々の仕事はマニュアル化されているか?
マニュアルは最短で成果を出す魔法のツール
効率的に仕事をしようとした場合、仕事の流れをマニュアル化させてしまったほうがいいことがあります。
どういった場合に特に有効かというと、仕事の流れに大きな変化がなく一連の流れとして考えられるものです。
例えば営業の仕事だと、新人とトップ営業マンだと成績に大きな差がありますよね。どうして差が出るかというと、成約までの流れの中でやっていることが両者で違うから。
トップ営業マンは、顧客リストを作るところから成約までの流れで、確率の高い「型」を持っています。その型を言語化してマニュアル化すると、新人営業マンでも一定のレベルまで早く到達できるわけです。
「どうして」の視点がないと仕事がタスク消化に…
便利なマニュアルも、「どうして」の視点がないと仕事がタスク消化になってしまいます。
実行すれば成果が出るようになっているのがマニュアル。良くも悪くも、あまり頭を使わなくてと淡々と進めていけば成果が出ます。けれども、注意しないと一つ一つの作業がただやるだけのタスク消化になってしまう危険もあります。
マニュアルの一つ一つの工程に「どうして」の視点がないと、本来の目的からずれたことをしてしまうことはもちろんですが、創造性も発揮されないので仕事自体が楽しくなくなってしまいます。
ポイント
マニュアル(言われたこと)通りにやっていても、仕事の本来の楽しみを十分に味わえない。
仕事を楽しむためにはマニュアルを越えた試行錯誤
そもそも、「楽しい仕事」とはどういったものなのでしょうか?
マニュアルは一定の水準まで短期間で持っていくことができますが、本当の仕事の楽しさとは自分たちで作り上げて試行錯誤することでしょう。
マニュアルに「お客さまには常に笑顔で接客する」と書かれているからといって笑顔を作って満足するよりも、お客さまのために何ができるかを試行錯誤しているほうが楽しいですよね。
マニュアルは仕事の質を最低限のラインまで引き上げてくれるものであって、そこからの試行錯誤が仕事が楽しくするための第一歩だと思います。
» 【書評】仕事が楽しい人も楽しくない人も読んだほうがいい「仕事は楽しいかね?」
まとめ
この記事は、仕事をマニュアル化する意味とその弊害を、仕事を楽しむコツと合わせて解説しました。
「マニュアル人間」といったように、マニュアルがつく単語はどうも印象が良くないですが、マニュアルは一定の水準まで仕事の質を高めるためにすごく役に立ちます。
ただし、マニュアルはあくまでツール。そこに頼り切って思考停止になってしまうと、本質を見誤るばかりか仕事自体がタスク消化になってしまって楽しくなくなってしまいます。
マニュアルに従うことで確かに一定の仕事はできるようになりますが、大事なのはマニュアルに書かれている内容が「どうして」そうなっているかの視点と試行錯誤する姿勢です。
人気記事 圧倒的な自分の才能(強み)の見つけ方。